嫌われ者に恋をしました
(7)美乃里のおせっかい
次の日、二人は何事もなかったかのように、淡々と仕事をこなしていた。
お互いがお互いに見ないようにしている。
そんな空気に耐えられず、隼人が煙草を吸いに廊下に出ると、ちょうど美乃里が来たところだった。
「小泉なら中にいるぞ」
そういうと美乃里はニヤッと笑った。
「いえいえ、松田課長に用があったんですよ」
美乃里は明らかに雪菜の話をしたそうな顔をしたから、隼人は目を細めてムスッとした。
「俺?何?」
「そんな顔しなくてもいいじゃないですか」
「用があるなら早く言えよ」
「冷たいなー。喫煙室まで一緒に行ってあげますから、ね?」
美乃里は頼んでもいないのに喫煙室までついて来た。喫煙室には誰もおらず、美乃里は「ラッキー」とつぶやいた。
「この間、雪菜と出かけたんですけどね」
「ふーん」
「あっれー?松田課長?二ヶ月も一緒に食事に行ってるのに、興味ないわけないでしょう?」
彼女はまた俺のことをコイツに喋ったのか。俺の気持ちなんて筒抜けってことかよ……。最悪だな。