嫌われ者に恋をしました
「やだ、ちょっと雪菜。……そんな、泣くほど好きなの?」
驚いた美乃里は、経理課の机から急いで箱ティッシュをかっぱらってきた。
「もう、そんなに泣かないでよ。あたしも泣きたくなっちゃうじゃない!」
見ると美乃里も目を真っ赤にしていたから、ますます涙が出てきた。
「ミノリちゃん、ごめん。……泣いたりして」
「いいの、いいの。雪菜の気持ちがわかって、あたしゃ嬉しいよ」
美乃里は涙を拭きながら言った。
「うん。……ありがとう」
「そう思うんだったら、課長に次誘われた時、絶対に断らないこと!いいね!」
「……もう誘ってこないよ」
「大丈夫だって。絶対また誘ってくるから」
「でも……」
うつむいてしまった雪菜を見て、美乃里は笑った。
「なんかさ、表向きは二人とも冷ややかでクールな感じなのに、全然そんなことないよね。二人とも立ち直れないでジメジメウツウツしてるんだもん」
「……二人とも?」
「そ、二人とも!」
ミノリちゃんは本当に課長と何かを話したんだ。その時、課長もジメジメしていたんだろうか。あの冷静な課長が?そう思ったら、また胸が痛くなった。
「ミノリちゃんには、かなわないよ……」
「まあねっ!」