嫌われ者に恋をしました
「笠井さん、俺の席で何してんの?」
隼人が戻ってきたのを見て、雪菜はフッと顔をそむけた。そんな雪菜の仕草に隼人は小さく傷ついた。
「ご飯食べてましたー。あ、でも、もう食べ終わったんで、失礼しまーす」
もらい泣きしていた割に、美乃里はちゃっかりサンドイッチを全部食べ終えていた。そそくさと席を立つ美乃里と入れ違いに隼人は席に着き机に目をやって固まった。
「あ!なんだよ、これ!パン屑だらけじゃん。あ、おい、ちょっと」
隼人の呼びかけを無視して「そんじゃあ失礼しまーす」とでかい声で言うと美乃里はさっさと立ち去っていった。
やかましくて存在感もでかい美乃里がいなくなると、二人の間にまた変な空気が流れた。
アイツ、俺の次は彼女に話しに来たのか。本当におせっかいだな。
隼人がゴミ箱を持ってきて、美乃里が落とした机のパン屑を払いながらチラッと雪菜を見ると、その目は泣いていたかのように赤かった。
俺のことを話していたのか?俺のことを思って泣いたのか?
そう思うと胸が締め付けられるように痛くなった。笠井さんの言う通り、俺に気があるんだろうか。
「アイツに泣かされた?」
「い、いえ。……私が勝手に泣いただけです」
「……そう」