好きからヤンデレ


『090-×××-××××』


重い荷物やらをアパートに持ち帰ってやっと一息ついたところだった。

山田さんが渡したあの紙切れにそうしるされていた。

これって.......

山田さんの携番!?

紙切れを持つ手がわなわなと震え出す。

嬉しい!嬉しい!!

焦りも少しあるのか、急いでスマホを取り出しその携番を打っていく。

ひとつひとつの数字を打つたび、緊張が走る。

だけど、声が聞きたくて。
思い切って発信ボタンをクリックした。


プルルルル


一回目のコール音

プルルル プルルル

二回、三回目と続く。

心臓がどくどく言って、過呼吸になりそう。

プルルルっ「はい」

どくんっ!!

どうしよう...いざとなると弱い私。
何を話せばいいのか分からない。

と、とりあえず、返事しなきゃ...

「.........もっもしもしっ!!!」

ああああダメだ。
すごく声が上がってしまった。

「あはは、空実さんかな?」

「はっはい!!!」

おどおどして落ち着かない。
そこらへんにあるコントローラとか触ったりして気を紛らわす。

「山田です。かけてきてくれたんだね〜」

山田さん、普段とは違う声の高さ。
きっと電話越しだからかな...。

「はい!.....ぇ、えっと!あの!その!!」

あああー言いたいことがテンパって言えない。

「焦らなくていいよ〜。ゆっくりで。」

優しい...山田さん優しすぎるよ。

そんなとこすごく好き。

「携番、教えてくれてありがとうございます!」

「いえいえー。まだ空実さんと話して見たかったしね。」

「はっ!はい!!」

どうしよう。

『空実さんと話して見たかった』

その言葉が私に頭の中を支配する。

「空実さんも俺と話して見たかった?」

ドキッ

心臓の音がだんだん早くなる。

口元が上がってにやけてしまう。


話して見たかった。

病院以外で、話して見たかった。

刑事と被害者という関係じゃなくて
ふつうの
男と女として...


きゅうううっと胸が締め付けられる

「話したかったです!!!」

「そうかー...嬉しいな〜」

電話の向こうから聞こえてくる声。

その声だけで私は、今日も明日も明後日も、ずっとずっと生きて行ける気がした。

「あのさ...」

幸せすぎて放心状態になっていると
彼は、口を開いた。
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