好きからヤンデレ
「.......斗真くん?」
智治さんの腕をつかむ力を強くする。
下がれ。
「ごめんなさい俺」
すこし可愛らしく誤ってみる。
「いや...えっと。」
状況がいまにもあたまにインプットできてないようだな。
こいつは雑魚だ。
「すいません...っ」
ほんのちょっと空実とそいつが近いだけで、俺は立っていられないほどの息苦しさを感じた。
「...斗真くん?い......や、どうしたのかな?だって...」
「俺はやめます。」
「いや...辞める...もなにも...一緒に組んで...」
バカだ。
あぁ。
おっしゃる通り、
俺は、そいつと組んでいた。
空実を捕まえるため。
「...ふっ」
もうバカバカしくて、そいつの焦る顔が面白くて
笑みがこぼれる。
あぁ、
肩が、腕が、手が、
震えて仕方がない。
強く握る手がそいつの肉に食い込むほど
「斗真くん?整理して...混乱してるのかな?」
は?一番混乱しているのはお前だろ。
そう言いながらそいつは空実を奪おうと近づきだす。
.......くそだ。
あぁ、いらつく。
「空実から離れろっつてんだろ‼︎‼︎‼︎」
ビッ
「ぐっ」
っと、そいつの皮膚が俺の爪で破けた。
じんわりと血がにじむ
俺はここぞとばかりに爪を入れ込んだ
「離れろ、みんな空実から離れろ‼︎‼︎‼︎‼︎」
「やっやめろ....‼︎」
片手が空いているというのに
痛さからなのか顔を歪めた彼は、何もできずに、ただ俺を睨んでいる。
そうだろう。
俺は今、今までの計画をすべて台無しにしてるんだ。
だがな、残念だよ。
長い長い計画もここで
「オワリだ。」
掴んでいる方ではない片手でポケットを探ると、いつの間にかナイフが入っていた。
ふっ、準備万端だな。
「...みんな離れろ、じゃないと智治刑事を刺すぞ。」
ナイフをそいつの首に向ける。
「銃を下せっ」
俺の行動に反応していた周りの刑事にそいつは言った。
以外に、物分りがいい奴だ。
だが、そんなんで話し合いに応じるとか
ガキじゃないんでね。
「斗真くん?こういうまねはやめなさい。どうして...っぐわっ」
ナイフをちょいと動かせば、たちまちそいつの首に赤い線ができた。
子供をなだめるかのように俺に近づいてくるからだ。
「お前らは、動くな。動くともう一度こいつを刺すぞ。次は殺るからな‼︎‼︎‼︎」
そいつが首から流れる血を抑える。
今だ。
震えて可愛い空実。
今から俺と二人だよ。
怯え、目線も定まらない彼女を
俺は、
刑事をすり抜け腕を取り
住宅街へと消えた。
おかしい。
やめろ。
「......くそ」
もう一人の自分。
が動き出した。