好きからヤンデレ
混乱
混乱
混乱
混乱
頭がフリーズして
目の前の現実を受け入れることができない
声だけで智治だと思い込んでいた私は
目の前にいる男性が
斗真だってことを
拒み続けた。
だって
そんな...ばかな
どうして、
「智治...じゃ...ない」
「さぁ、逃げなきゃ」
「智治を返して!!!」
無理やり私の腕を掴む
その男性に私は叫んだ
「何言ってるの?俺は斗真
智治なんて居ないんだよ?さぁ、好きだよ空美。」
ぐいっと体を全て持って行かれたまま
男性の胸に飛び込んだ
「と、うま...」
私の大嫌いな
斗真。
殺してやりたい
斗真が目の前にいる。
もう一人の自分が戻る前に
殺らなきゃ
殺らなきゃ
殺さなきゃ
「...ぁっう」
ギュッと抱きしめられる
体が覚えている記憶
雨の降ったあの日
私は...二つに分かれた
「いや...やだ。お願い...離して」
殺らなきゃ
殺らなきゃ!!!!!
もう一人の自分が、生まれて...
「お休み空美。休んで。空美。これからの真実のために」
そうつぶやいた彼の声を最後に
目の前がボヤつき始める
もうろうな意識の中
私は必死に答えを探した。
智治の声をした彼。
あぁ
ダメだ
狂ってる
智治を好きな私と
斗真を好きな私が
甘い渦のように絡み合って
記憶がごっちゃ返して
ふわろふわりと目の前がちらつきはじめた
「と...もは...る」
このまま意識を落とした。