だから、肉まん。〔短編〕
高瀬が目を見開き、驚いた顔で私を見る。
私は、にっ、と笑いかえしてやる。
すると、高瀬はとたんに耳まで真っ赤になった。
そして、首にまいたマフラーで口元を隠すように、顔をうずめる。
・・・照れてる、照れてる。
照れたときに口元を隠そうとするのは、高瀬の昔からの癖だ。
私が、じぃっと高瀬を見つめると、
「あんまり、見るなよ・・・」
とマフラーの下で、もごもごと言いながら、そっぽを向いてしまった。
でも、私の手はしっかりと握られたまま。
私の顔に笑みが広がる。