近未来少年少女



『ユウキは何か隠してる事がある?』


カオリが真剣な顔で真っ直ぐ俺を見た

隠し事が何か、と聞かれれば答えられないけど、隠し事があるか、と聞かれたら…………


『あるよ』

するとカオリは『そっか…』と深く聞いてこなかった

隠してる事………

でも聞かれても今は言えない、
まだ言えない………


『じゃぁ…
俺もカオリに聞いていい?』

俺の中で一つだけ浮かんだ質問


『なに?』




『…………今楽しい?』


俺の質問がストレート過ぎたのか、カオリは目を真ん丸くしていた

もっと違う質問の仕方の方がよかったかな…

でもなんて聞けば…………

『楽しいよ』


頭でゴチャゴチャ考えてる中、聞こえたカオリの言葉

“楽しいよ”

そう返ってくるのは当たり前だった


“今楽しい?”なんて、聞く方がおかしい世界なんだから……


楽しいと返ってくる事は分かっていた

分かっていたのに、俺の胸にズシッと突き刺さった



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