近未来少年少女



『ユウキがねー…』


会話の途中で聞こえた俺の名前

電話の相手はたぶんおふくろの
彼氏だ


俺の話しなんかするなよ…
なに話してるんだろ?


『あーユウキはダメよ!
やりたい事ないもん!』


………

『それにうちはそんなお金ないしね。あの子は言わなくても分かってるわよ』


…………


『大学?無理無理!
就職してもらわないとこっちが困っちゃうわよ!』

……………


偶然聞いてしまった言葉に、俺は胸を鷲掴みにされているような感覚に陥った

…………ッ


分かってる


そんな事今さら言われなくたって
分かってるんだよ


俺に将来の選択肢はないって事ぐらい


バンッ!!!


勢いよくリビングのドアを開けて
携帯を取った


おふくろはア然としていたが
すぐにまた電話で話し始めていた



< 18 / 599 >

この作品をシェア

pagetop