近未来少年少女



『リーダーはいつも一人で何かを調べてた。俺達に悟られないように』


ゲンタはとっくに気付いていた

確かにそうだよな……

俺でさえ初めて会った時から、リーダーが何かを隠していると分かった

長い時間リーダーと一緒に居て、ゲンタが何も気付かない訳がない


『一人で街を回って寝不足なのに俺等の前では平気なふりしてさ…。何を調べてんのか分かんないけどそんなリーダー見てるのずっと嫌だったんだ』

ゲンタの声が少し震えていた


『ずっと嫌だったって…そんな事……』


『嫌って言うのはリーダーの事じゃなくて自分の事』
……自分の事……?


ゲンタは真っ直ぐ俺の目を見て言った


『だってそんな風に無理させてんの俺達じゃん?』


俺達…?そんな事、そんな事絶対にない!…そう言おうとした瞬間、


『リーダーは優しいから、言えない分俺達に気を使う。俺達が居なかったら……リーダーはもっと自由に動けると思うんだよね』


ゲンタは…………

ゲンタは嫌みで言ってるんじゃなくて、

隠し事をされた悔しさで言ってるんじゃなくて、


全部リーダーの事を想って言っていた


“言ってもらえない悲しさ”じゃなくて、“言えない悲しさ”をゲンタはもうずっと前から分かっていた


リーダーが苦しんでいる事、それを隠して自分達の前では平気なふりをしてる事、


それを痛い程分かっていた、分かっていたからこそ

ゲンタはリーダーの側から離れる決意をしたんだ



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