近未来少年少女


どう思ったって聞かれても……だってミノルを思い出せたのはほんの一瞬で……

……だけど俺はその一瞬の中にミノルの姿を見た

ミノルの顔は寂しげで一人ぼっちだった


その姿が頭から離れてくれない


俺はこの世界から出る為にあいつの事を思い出したかった

なぜなら記憶を思い出せば出口が見つかると思ったから


でも実際にミノルの事を少しでも思い出せた今、俺の中で何かが変わっていた

なんであいつは一人だったのか……なんでそんなに寂しそうだったのか………

そればかりが気になって仕方がない



駄菓子屋に飾ってあった一枚の絵、あの絵に書かれているのはたぶん俺達だ


あの絵のミノルは笑っていて……すごくすごく楽しそうだったのに

なんであいつの一人の姿だけが頭から焼き付いて離れないんだろうー…


俺はあいつを思い出せた時から………

この世界から出る為じゃなく、出口を探す為じゃなく、あいつの為に………


ミノル自身の事を知りたい自分が居た

なんでだろう…


一瞬なのに、ほんの一瞬だったのに一人ぼっちだったあいつを見て


救ってあげたいと思ってしまったのはー………

なぜだろう…



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