近未来少年少女



『……で?お前は誰なんだよ?』

ボールを手に取った俺は、少年に近付いた

『うーん……
いっぱいあるんだよなぁ』
いっぱい………?


『な、なにが?』


少年は一呼吸置いて、こう言った


『俺の存在を表現する方法が』

表現する方法…?


『訳分かんないんだけど……』

率直な意見を述べた

俺が言うと少年は意外な事を言い出した

『分からないの?
本当に……?』


何もかも見透かされているような目


どうしてだろう……?

突然俺の前に現れて何の説明もなく馴れ馴れしく接してくる少年

だけどなぜか突き放す気にもなれない


俺の味方のような、力を貸してくれるようなそんな気がしていた

この気持ち……
前にも感じた事のあるこの感じは…………


『いつも俺に話し掛けてた奴……?』

何て言っていいか分からないけど、頭の中で声がして時々何かを伝えてくる奴

そいつは確かに俺の中に居た

なぜかそれを疑問視する訳ではなく、俺は平然と受け入れてきた

だって“自分の味方”のような気がしていたから



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