近未来少年少女


カシワギはゆっくりとその場に腰を下ろした


『ダイキがさ…昔俺に言ったんだ』

『………?』


『“人を動かす事が出来る人間は力を持った者”
“人の気持ちを動かす事が出来る人間は諦めなかった者”』


俺はその言葉が胸に響いて熱くなった

『だからお前も諦めなければ相手にちゃんと伝わるんだぞ!って…』


リーダーに聞いたカシワギの過去


“カシワギは今まで自分の事を理解してくれる人は誰も居なかったって言ってた”


“ずっと一人で生きてきたって…。だから俺は誰も信じないって”


『諦めなければ……
相手伝わる…………』

俺は自分に言い聞かせるように繰り返した


『あいつの言った通りだった。だってお前の言葉……俺にちゃんと伝わってきた』

俺は下を向いて不自然に頭を掻いた

うつ向いていないと………涙が出そうで………
………………


『俺はいつも空回りばっかりだ。大事な事をあいつに教わっていたのに結局何も……』

カシワギが勿忘草の花を切なく見た


…そんな事ない
………空回りじゃないよ


カシワギはカシワギの出来る事をした

それが例え失敗だったとしても、リーダーの為に動いた時間は無駄じゃない


『リーダーはカシワギの“理解者になりたかった”って言ってた』


たぶん最初からリーダーはカシワギを恨んだりしていない、きっと今でも心の奥で引っ掛かってるんだと思う


『カシワギの気持ちを分かってあげれるのは自分だけだと思ってたって、そう言ってたよ』


カシワギは目を瞑り、数秒考えた後、『………そっか』と小さく答えた


目に少しだけ涙を浮かべてー………



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