近未来少年少女


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メグはそっと俺の隣に座った

『この場所をカシワギがあんたに教えるとはね』


体育座りしながらメグも目の前にある景色に目を向ける

『見てたの……?』


『別に見たくて見た訳じゃないわよ。たまたま来たらあんた達が居たから』

メグはさらに続けた


『あたしね、この世界で一番この場所が好きなの』


そう言った横顔はすごく優しい顔だった

俺はこの時分かった

メグが九番街に住んでて、そこを本家だと言った理由が……

『メグはカシワギとリーダーの事知ってたんだね』


“あんたが道を見失ったらあたしが道案内してあげてもいいよ”

前にメグがカシワギに言った言葉


『あたしに知らない事なんてないのよ』

俺が聞くとメグはそう言った


“なんでメグは俺の事知ってるの?”

“あたしに知らない事なんてないのよ”


初めてメグに会った日に交わした言葉を思い出した


『やっぱりメグだなぁ』

俺は笑いながら染々と言った

『なに笑ってんのよ?不気味なんだけど』


冷たく言い返すのも“やっぱりメグだ”と俺は余計に笑った

だけど俺は同時にこんなやり取りも怒られたり、笑われたりする事も、もう二度とないかもしれない


だからこの瞬間、この時間を後悔しないように

ちゃんと胸に焼き付けておこうと思ったー…



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