近未来少年少女
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“ウノ町二丁目
駄菓子屋坂本”
駄菓子屋の前で7人の足が止まる
リーダーとカオリ以外のみんなは、“ここに出口があるの?”と口を揃えて言っていた
俺は深く頷いて、ガラガラガラー…とガラス戸を開けた
ゆっくりと中に入り、壁に飾られた絵に目を向ける
ゴクンッと唾を飲んだ
ついに…ついに元の世界に帰る時が……
駄菓子屋の中は狭くて、みんなで入る事は無理だった、だから………
『見送りはここまででいいよ』
入り口のガラス戸に手をかけ、外に居るみんなに言った
『湿っぽいのは嫌だから明るく別れよーぜ』
そう言ってくれたのはゲンタだ
『ユウキ……』
その横でカオリが泣きそうな顔で俺を見た
もう伝えたい事は言った
自分の決断に迷いはない
『じゃぁ俺行くよ、みんな今までありがとう………元気でな!』
一人一人の顔を見ながら言った
ゲンタの言う通り、湿っぽい別れではなく明るい別れ
俺はその言葉だけ言って、みんなに背を向けた
案外呆気ない別れだと思うかもしれないけど
今までの思い出と、言葉に出来ない絆がちゃんと胸に焼き付いてるから……
これ以上何も言う事はなかった
ガラガラー…
ゆっくりと戸を閉めていく…………
……………とその時
ガシャンッ!!!
ガラス戸が大きく揺れた
パッと見ると、もう少しで完全に閉まる戸の間にリーダーの手が挟まっていた
『リ、リーダー…?』
『……頼む。最後まで見送らせてくれ』
そう真剣な顔で言ったリーダーは、ガラガラー…と閉めかけた戸を開け、駄菓子屋の中に入った
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