近未来少年少女



元の世界……………
ついに…ついに帰ってきた!!!

俺は色んな感情が一気に溢れ出していた

でも不思議と違う感情も湧いていた


空を見上げると薄暗い空

茶色く枯れかかってる草木

錆びたゴミ箱に空き缶のゴミ

美術館前の道を通り抜ける車の数々

清々しい空気ではなく少し淀んだ空気


この世界にずっと居たはずなのに、なぜか全て偽物に見えてしまう


ペンキで塗ったみたいな青い空や綺麗に並んだ花や植物

童話の国から飛び出してきたみたいなメルヘンな建物、そんなカラフルな世界はもう俺の目に映らない


あの世界に慣れてしまっていた俺は現実世界に戻って最初に思った事、それは………

“なんだか全て灰色に見える”

戻って来れて嬉しいはずなのに、こんな事を思うなんて………


俺はあの世界に慣れすぎていたんだなって………
こんな感情に浸ってる場合じゃない…!

俺にはたくさんやる事があるんだから


………とりあえず家に帰ろう…

ここは俺の地元の隣町、走ればすぐだった

家までの道のりも、今まで忘れていた事もなぜか頭の中にある


元の世界に戻れたおかげで、記憶が戻ったのかもしれない



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