近未来少年少女



話したい事がたくさんある、言いたい事も山ほどある

だけどこうゆう時、なぜか何も言えない自分


何から話せばいいのか分からない、この嬉しさをどう伝えたらいいのか分からないよ


フクを抱きしめて“久しぶり”なんて言えたら……少しはこの気持ちを表現出来るだろうか

まぁ…そんなキャラじゃない事は一番フクが知っている


こんな事を思いながら、最初に出た言葉は………

『こんなに朝早くどうしたの?』だった


言いながら、“もっと話さなきゃいけない事があるだろ!”と自分で突っ込みをいれた

フクとは親友だったし、ずっと会いたかった人だったから……照れ隠しをしていたのかもしれない…


フクもかなり戸惑ったのか、慌てて言い返した


『え?あ…あぁ!今日はテスト最終日で朝早く行って勉強しようと思って……』

『テ、テスト!?』


テストと言う言葉に敏感な俺、ってそれ以前のテスト受けてねーし

そもそも一年以上学校休んでる訳だし……よく考えれば問題だらけだな

でも少し凛としたフクの姿に、

『高三になったんだな…』と俺は呟いた


高二と高三なんて全然大差ないけど、俺にはなんとなくフクが大人っぽくなったように感じていた


『事実上ユウキも高三だよ』

フクが笑いながら言う

……確かに、い、いやいや…

『俺は無理だよ。こうなったら留年して意地でも卒業するよ』

そう笑い返した

和やかな空気、懐かしいこの感じ、何もかも取っ払ってフクとならこうして笑い合える

だから俺はこいつが好き


“一番の親友”
そう胸を張って言える



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