近未来少年少女


痛てぇ…ッ…!あれ?何か涙出てきた

ぶつけた所を手で押さえながら、涙目で前を見ると………
……………

おふくろが呆然と固まっていた

あ…えーと…えーと…とりあえず、

『た、ただいま……』

俺の声は震えた

次に飛んできたのは………おふくろの手だった

バシッ!!!!と俺の頬を叩く

だけどその痛みは、ドアにぶつけた痛みより何倍も痛かった


『ユ、ウキ……ユウキなの…………?』

涙をたくさん流しておふくろは俺を抱きしめた

強く強く……………


『おふくろ…ごめん』


俺もおふくろの背中に手をかざすと……おふくろの背中は俺の手の中にスッポリと入ってしまう程小さかった


おふくろってこんなに小さかったっけ……


俺はいつからおふくろより背が高くなったんだっけ

俺はいつからおふくろと向き合わなくなったんだっけ

おふくろの手が温かい

俺よりも遥かに小さいこの手に……生まれた時からずっと守られていた


小さい頃手を引いて歩いてくれた

泥だらけで帰ってきたらその泥を払ってくれた

泣いていたらその涙を拭ってくれた

風邪を引いたら顔に手を当てて冷ましてくれた

何かあると背中を叩いて元気をくれた

悪い事をしたら思いっきり叩いてくれた


それは全部“この手”


それなのに俺はどうして……大切に出来なかったんだろう

自分が不甲斐なくて情けない



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