近未来少年少女

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俺は一晩考えた結果、近所の“ウノ川の土手に行きたい”と言った


お父さんは“もっと遊園地とか遠い所でもいいんだよ”と言ったけど……

俺はウノ川の土手に行きたかった


ウノ川はウノ町に流れてる川で、その周りには綺麗な緑の空間が広がっている

お弁当を持ってのんびりと過ごす家族連れや、芝生の上で走り回る子供達

ジョギングをしてる人や、犬の散歩をしてる人

とにかく休日になるとたくさんの人が居る場所だった

でも人がたくさん居るから“行きたい”と言った訳じゃない


その中で親子がキャッチボールをしてる姿などを見て、羨ましいと思っていたからだった


それはキャッチボールじゃなくても、ただ休日にお父さんと土手に行く事が俺にとっては特別な事に思えた
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次の日の朝、いつものようにお母さんはパートに行った

俺とお父さんはそれを見送ってからウノ川の土手に出掛けた


『今日晴れてよかったなー』

お父さんが青い空を見上げ、気持ち良さそうに言った

家から土手まで歩いて15分くらいの距離で、その間お父さんと色々な話しをした

いつも優しいお父さんがもっともっと優しく見えた


こんな日が毎日続けばいいのになぁ……と思いながら、俺は目的地まで歩いた

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