近未来少年少女


その言葉を言った瞬間、予想外の反応が返ってきた

『ぷっ、あははは!!!
そうか!ユウキはサッカーが下手なのか』


『!』

お父さんの大きな笑い声に、呆気に取られた俺は目をまん丸くさせた


“俺サッカー下手だから”
それは冗談で言った訳じゃなく、真面目に言った言葉で……

だからこそ笑ってるお父さんを見て少しムッ!とした

一瞬で機嫌を悪くした俺は無言で下を向き、訳もなく芝生を手で抜き始めた

チラッと横目で見るとまだお父さんはニヤニヤしていて………

俺は余計にふて腐れ、口を尖らせた


『ユウキお父さんな……』

そんな中聞こえた声、俺は見向きもせずただ草ばかりを見ていた


『お父さんサッカー選手になるのが夢だったんだ』

『え?』


その言葉に思わず顔を上げてしまった

目が合ったお父さんは優しい顔でニコッと笑った


『サ、サッカー選手……?
お父さんが?』

さっきまで機嫌を悪くしていたとは思えない程、興味が沸いた


『なんだ?お父さんがサッカー選手になっちゃいけないのか?』

冗談まじりに言うお父さんに、俺はブンブンと首を横に振り『そんな事ないよ』と全力で否定した


『お父さん小中高ってサッカー部に入っててな。これでもけっこう将来を期待されてたりもしてたんだぞ』

自慢気に話すお父さんの横で、俺は目を輝かせていた
こんな話しを聞いたのは初めてで………

優しいお父さんから尊敬のお父さんに変わった


そして“将来サッカー選手になるのが夢だった”と言ったお父さんがなんだかかっこよく見えた



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