近未来少年少女



『そう言えばユウキ進路どうするの?』

話しは変わって進路の話題になった

“進路”


その言葉を聞いた瞬間、一気にテンションが下がった
『…決まってない』


“就職”と決まっているのに
言えなかった


まだ人に言える程気持ちが整理できてないから


『フ、フクは?』


『俺も決まってないよ』

即答で答えたフクに少しだけ安心した


今まで“進路”という言葉すら出てこなかったのに、進路調査表が配られた日からみんな進路の話しが増えていた


大学や専門のパンフを開いて盛り上がってる姿もよく見る光景になっている

『ねぇ、あれ見て』

フクの目線がある人物に向いた

その方向に居たのは学校で1番頭がいい“ナカジマ”

あだ名は“ナカジ”


ナカジは先生と大学のパンフを広げて話し合っていた

よく見えないけど、たぶん有名な大学のパンフ

期待されてるんだなって、嫌でも分かる

だってナカジと話している先生の顔はいつも笑顔で、“別格”とも言える接し方だった

『見ろよ!あの先生の笑顔。
ナカジに対する態度全然違うよな』

『当たり前でしょ。
期待されてんだから』


その光景に気付いてみんな口を揃えて同じ事を言った

頭も良くて周りから期待されて、
いい大学に行って


今の俺とは天と地の差だと思った

人によって思う事は違うけど
ナカジは将来を保証されてる気がした



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