近未来少年少女


親父……いや、お父さんはどんな思いでこの家を出て行ったんだろう?

どんな思いであの時…あの時………………


悔しさと悲しさと情けなさに、言葉が出てこなかった

“あの時”

それは事故によって失われていた記憶の一部

でもその前にミノルの事は飛ばせない


“父親”

“ミノル”

“事故”

この順番で解決していかなければ意味がない


『おふくろ…俺まだやり残してる事あるんだ』

『…やり残してる事?』


『俺の事をずっと待っていた“友達”の事、何も聞かずに行かせて欲しい』

そう言ってソファーから立ち上がった


おふくろも黙って立ち上がり、俺の背中をそっと叩いた


『……いってらっしゃい。ユウキはもう子供じゃないもの』

そう泣きながら笑った


おふくろ………

『うん、行ってきます!』
……………………
……………

………………………

家を出て俺はある場所へと走っていた

その足はだんだん早く…早くなっていく

ハァー…ハァー………
……………
鼓動も呼吸も荒くなる


ミノル……俺…思い出したよ

全部、全部思い出したよ

ミノル………

ミノル………………


約束守れなくてごめん

あの場所に行ってあげられなくてごめん


ずっと待たせてごめん


今行くから、10年前のお前に会いに行くからー……

……………………
………



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