近未来少年少女


『桜を見に来れない…?』

その言葉に疑問を感じた

看護婦さんは写真を撮るのを止め、レンズ越しではなく肉眼で桜を眺めた

『そうよ、みんなここの桜を楽しみにしてるの。ほら、あそこにベンチがあるのも患者さんが座って見れる為なのよ』


…そうなんだ!
ん……?あれ?もしかして………


『ここの公園って病院の公園なの!?』

嫌な予感が浮かび、それは的中してしまった

看護婦は何のためらいもなく『そうよ』と言った

ガーン!!と漫画みたいな効果音が本当に頭の中で聞こえた気がした


俺はシュンッとしてサッカーボールを握りしめる、そんな中

『でもね』と看護婦さんが言葉を続けた

『………?』


『ここはみんなが使っていい公園なのよ。もちろん僕もね』


………………
………



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