近未来少年少女


……………………
………………

公園に着いた俺は、真っ先に桜の木に目を向けた

相変わらず桜は満開を保っていた

いつか散っちゃうのかな…こんなに綺麗なのに


“2年2組 ユウキ”そう書かれた自分のボールを足元に置き、地面にはまん丸い影が映っていた

俺は手を目にかざしながら空を見た

眩しい太陽に目が眩む


『今日は本当に天気がいいな…』

するとまた視線を感じた

………?

この間からなんなんだろ………

周りをキョロキョロ見渡しても誰も居ない

右でも、左でも、前でも、後ろでもない

後残るは…………

目線を上の方へとずらして見た


公園ではなく、病院の方…………

真っ白いベールに包まれた、ウツギ総合病院

一階……違う

二階………違う


三階……………あ


公園から見える無数の病院の窓


そこの三階の窓から

こっちを見ている少年が一人




出会いと言うのは、ふっとした瞬間に訪れる

何の前触れもなく、本当に本当に突然…………


そして、その出会いが自分の人生を変えてしまう程の大きな瞬間だと

俺にもあいつにも、この時は世界中で神様以外知らない

だけど俺は神様でもないくせに、この時なぜか運命的な何かを感じていた


誰にも言った事のない“何か”を

三階から見つめる君になら話せる気がした


だって一目見た瞬間に


君も孤独の中で生きていると分かったからー…



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