近未来少年少女



俺は何の迷いもなく自称、秘密の扉を使って病院の敷地内へと足を踏み入れた


勝手に入ったら怒られるかもしれない

公園使用禁止令が出るかもしれない

そんな事、今の俺には頭の片隅にも入ってなくて………ただ話してみたかった


積極的な性格じゃないくせに、この時だけは頭より体が先に動いていた


綺麗な花壇と大きな木々が手入れされている病院の敷地内


俺は少年を目印にゆっくりとゆっくりと、顔を覗かせてる窓の下まで辿り着いた

病院に居るって事はどこか具合が悪いのかな…

見た目は俺と同じ歳ぐらいだと思う


俺の中で“言おう”か“言わない”か暫く葛藤が続いた

だってここは病院、絶対無理に決まってる


少年は身を乗り出して、三階から俺を見下ろしている

俺は逆に見上げているけど、逆光で顔が良く見えない
自然にサッカーボールをギュッと握り締めていた、そして…………



『なぁ!そんな所で見てないでお前もこっちに来いよ!』



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