近未来少年少女
最初に口を開いたのは俺の方だった
『名前は?』
少年はさっき“うん!!”と大きな返事をしたと思えない程弱々しく、
『………ミノル』と言った
『…ミノルか!俺の名前はユウキ。よろしくな』
そう言って右手を差し出した
『……?』
ミノルは戸惑った様子でキョトンとしている
俺は当たり前のように言った
『握手だよ。よろしくミノル』
そう言うとミノルは恐る恐る手を差し出した
『よろしく……ユウキ』
握手したミノルの手は冷たくて、俺より少し小さかった
だけどミノルが嬉しそうに微笑んだのを見て、なんだかホッとした
次に口を開いたのはミノルだった
『それ………』
ミノルが興味を持ったのは、俺の手の中にあるサッカーボール
『あぁ…これ俺のボール!お父さんが買ってくれたんだ』
俺は自慢するかのように、くるくるとボールを回して見せた
ミノルはそれを黙って見た後、意外な言葉を口にした
『ユウキのお父さんは……優しい?』
俺はサッカーボールよりもお父さんについて聞いてきた事にびっくりしていた
少し戸惑ったけど、迷わず『すごく優しいよ』と答えた
それを聞いてミノルは“そうなんだ”としか言わなかった
“じゃぁミノルのお父さんは?”
そんな言葉が喉の奥まで来ていたけど、それをゴクリと飲み込んだ
幼いながらに“聞いたらいけない”と直感的に思ったから