近未来少年少女


俺は流れを変えようとボールを地面に置いた

それを右足から左足へ、そしてまた右足へとリフティングした

ミノルは目をまん丸くさせて『すごい……』と呟いた

俺はボールを軽く蹴って、それを手でキャッチした


『すごくないよ…。リフティングだって全然続かないし…』

俺が言い終わる前にミノルは、

『ううん!すごいよ、本当にすごい』

小さな声だったミノルが、大きく声を出して言った

『………』


俺はそれに答えず、照れ隠しをするようにまたボールを蹴り始めた


ただ単純に嬉しかった

“上手い”はよく言われるけど、“すごい”と言われたのは初めてだったから……

上手いって言葉は思ってなくても口に出せるけど、

すごいは本当に思ってないと出ない言葉のような気がしたから


俺とミノルは初対面なのに、なんだかそんな気が全然しなくて……

ミノルとなら仲良くなれると感じていた



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