近未来少年少女



俺は手に持ったボールをポンッ!とミノルの方へ投げた

ガシッ

細い手の中へボールがスッと吸い込まれた


『サッカー好き?』


『………やった事ない』


俺が聞くとミノルはだんだん小さな声に戻ってしまった

ボールを持ってる手がぎこちなくてミノルは戸惑っているように見えた

そんな様子に俺は、

『そっか!じゃぁ一緒にやろう?』と声を張って言った

『………?』


『教えるのは苦手なんだ。だから一緒に遊びながらやれば自然に覚えるよ』


教えてと言われれば教えるけど、やっぱり俺は教えるより一緒に遊びたい


口や目で見るより体で覚えた方が楽しいから

俺がお父さんに教えてもらったみたいに…


『う…うん…!』


ミノルは嬉しそうに笑った

俺はこの日から1人で練習するのをやめた

ここに来ればミノルに会える


やっぱりサッカーは1人で出来ないから


“すごいね”って言われるだけじゃなくて……

すごいねって自分も誰かに言いたい、言い合いたい


“楽しいね”って言いながら上手くなりたい

俺は少しだけ自分の考え方が変わった事を実感していたー…



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