近未来少年少女



俺はお母さんの返事を待たずに走り出した

後ろでお母さんが何かを言ってたみたいだけど……今の俺には届かない


必死に走った

走って

走って

走りまくった


通い慣れた道が真っ暗で、別の道に見える

本当は怖かった

怖くてたまらなかった


だから俺は走るしかなかったんだ

向かう場所はただ一つ


頼る人はただ一人

あの場所に向かって…………俺は夜の町を走り抜けた
……………………
……………

……

ハァハァー…ハァハァ………

まともに呼吸が出来ない程、息が上がっていた

当たり前か…家から隣町のここまで全力で来たんだから

俺がたどり着いた場所は………


『来たのはいいけど、これからどうしよう……』

いつもの公園だった

電灯も付いてないこの場所は静まり返り、音一つしなかった

ずっと暗い中を走ってきたせいか、目がだんだんと暗闇に慣れてきたのが分かった

うっすらと見えるベンチに腰掛け、目線を隣のウツギ総合病院に向けた

幸いな事に病院の敷地内には電灯があって多少明るかった

だけど……目的の場所は電気が付いてなく、真っ暗だった


『やっぱ寝ちゃってるよな……』

俺はミノルの病室の窓を見つめて言った

ってか……例え起きてたとしても病院だし、泊まる事なんか出来ないし、ミノルは病人なのに……

俺は何をやってんだろ……

無我夢中でここまで来たのはいいけど、自分の無計画さにため息が出た



< 415 / 599 >

この作品をシェア

pagetop