近未来少年少女


俺の中で真っ先に思い付いた場所がここで…なんとなくミノルの顔が見たくなった


『でも一晩ここに居るのも悪くないかな』


不思議と怖さはなくなっていた

むしろ公園に着いた途端、なぜか安心した

そのぐらいここは俺にとって特別な場所になっていた、でも………


『さすがに着替えてくれば良かったかな…』

ポツリとぼやいた

俺は手ぶらなのは勿論だけど、着ている洋服はパジャマだった

まぁ…着替えてる余裕も時間もなかったんだけどね

ふっとベンチから立ち上がり、桜の木に近付いた


満開だった桜はほとんど散って、足元は花びらの海が広がっていた


『また来年見れるといいな…』


そう暗闇に並ぶ桜の木を見て思った

一晩ここに居ると決意したのはいいけど……暇だな……

足元の小石をポンっと蹴ってみたけど……全然面白くない


サーカーボールだけでも持ってくればよかった………とすごく後悔した


“サーカーボール”

それを思い出した瞬間、お父さんの顔が浮かんだ


お父さんは何も知らずに寝てるんだろうな……

お母さんはあの後、出掛けたのかな……?


グルグルと色んな事を考えて頭が痛くなった

こうやって考えるだけでイライラしてくる

って……結局家に居ても居なくても同じだったのかもしれない

だって頭から切り離す事はどうしても出来ないんだから………


俺は無意識に小石を蹴り続けていた

何かしていないと泣きそうな自分に負けるからー…

……………

……………………


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