近未来少年少女


『だーかーら…大声出しちゃダメだってば』

ミノルが耳元で囁く

あ、そうか…って…………………


『急に居なくならないでよ……』

『居なくなってないよ。こっちに曲がっただけ』

そうミノル言うと右に曲がり、また手招きをした


ウツギ総合病院はここら辺では一番大きい病院だ

外から見ても大きいけど…中は想像以上に広かった


俺は有難い事に今まで病院とは無縁だったからこんなに大きな病院に入る事も、ましてや夜に入るなんて生涯ないと思ってた


病院の廊下はどこまでも続いてる

いっぱいドアがあるけど……これは全部病室なんだよね?


一体何人の人が入院してるんだろう……?

周りを見渡しながら歩いて行くと、ミノルが突然足を止めた


『ここが僕の部屋』


そう言って静かにドアを開けた

……こ、ここがミノルの部屋……?


俺は開いた口が塞がらなかった、その理由は…………
なんと言っても広さだった

『お、俺の部屋より何倍も広い……』

俺のイメージでは病院の病室って一部屋に何人も居て……

白いカーテンで区切られた狭い空間の中にベッドとテレビ、そんな部屋のイメージだったのに……


ミノルの部屋は俺の思ってたものとはかけ離れ過ぎていた

それをミノルに言ったら、
『一階と二階はみんな相部屋だけど、三階は一人部屋。まぁ…ここはその中でも特別な部屋なんだけどね』

とベッドに腰掛けて答えた


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