近未来少年少女
『もしかしてミノルはその……外に出ちゃダメだったりしたの…?』
俺は何にも考えずに“サーカーやらない?”なんて誘っちゃったけど……
考えてみればそうだよな…外に出ちゃいけないっていう可能性を全く考えていなかった
今までも強引に駄菓子屋に連れてったりしてたけど、大丈夫だったのかな……?
本当は断りたくても断れなかったんじゃ……………
俺はブツブツと言いながら、急に不安になった
だけどそんな不安はミノルの言葉で簡単に吹き飛んだ
『僕は外に出るのが怖かっただけなんだ。ここに居れば自分と同じ人がたくさん居るけど…外に出たら誰も居ない』
『…………』
『僕はやっぱり他の人とは違うんじゃないかって……そう思う事が怖かったんだよ』
『ミノル……』
『でもユウキが僕を外に連れ出してくれたんだ!偏見も壁もなく僕に接してくれた。本当に本当…感謝してるんだよ』
ミノルの言葉に俺はいつも泣きそうになってしまう
それは同情とかじゃなくて、俺を見るミノルの瞳が綺麗だから
言葉一つ一つが透き通って見えて偽りも何もない、清みきった心をミノルが持ってるから
だから泣きそうになる
例えば、綺麗な景色を見た時とか
例えば、台風が去った後の雲一つない青空とか
例えば、あの日見た公園の満開の桜とか
そんな汚れのない綺麗なものを見た時と同じ感情だった
上手く言葉では説明出来ないけど、ミノルが白い花だとしたら……
俺は黒い花だと思う
そんな白い花が俺に感謝と言った
泣きそうにならない訳がない