近未来少年少女



『もしかしてミノルはその……外に出ちゃダメだったりしたの…?』


俺は何にも考えずに“サーカーやらない?”なんて誘っちゃったけど……

考えてみればそうだよな…外に出ちゃいけないっていう可能性を全く考えていなかった


今までも強引に駄菓子屋に連れてったりしてたけど、大丈夫だったのかな……?
本当は断りたくても断れなかったんじゃ……………


俺はブツブツと言いながら、急に不安になった

だけどそんな不安はミノルの言葉で簡単に吹き飛んだ


『僕は外に出るのが怖かっただけなんだ。ここに居れば自分と同じ人がたくさん居るけど…外に出たら誰も居ない』


『…………』


『僕はやっぱり他の人とは違うんじゃないかって……そう思う事が怖かったんだよ』


『ミノル……』


『でもユウキが僕を外に連れ出してくれたんだ!偏見も壁もなく僕に接してくれた。本当に本当…感謝してるんだよ』



ミノルの言葉に俺はいつも泣きそうになってしまう


それは同情とかじゃなくて、俺を見るミノルの瞳が綺麗だから


言葉一つ一つが透き通って見えて偽りも何もない、清みきった心をミノルが持ってるから

だから泣きそうになる



例えば、綺麗な景色を見た時とか

例えば、台風が去った後の雲一つない青空とか

例えば、あの日見た公園の満開の桜とか


そんな汚れのない綺麗なものを見た時と同じ感情だった


上手く言葉では説明出来ないけど、ミノルが白い花だとしたら……

俺は黒い花だと思う


そんな白い花が俺に感謝と言った


泣きそうにならない訳がない



< 422 / 599 >

この作品をシェア

pagetop