近未来少年少女



童話……?
童話ってお菓子の家とか、人魚姫とかそう言う話しだよね?

そう言えばあんまり読んだ事ないな…


『なんでミノルは童話が好きなの?』

そう聞くと、ミノルも絵を見つめた


『だって夢があるから』


その答えは即答だった


『………夢?』


『そう夢、あんな綺麗な街に行けたらっていつも思うんだよね』


ミノルの目は真剣だった、まるで本当にいつもそう思ってるかのように


『綺麗な街って…うーん、メルヘンみたいな街って事?』

童話を読まない俺はいまいちどんな街か想像が出来ない


『うん、ここは空気が悪いから……童話に出てくるような街に行けたら空気も美味しいんだろうなって』


空気……?俺はその言葉を聞いて、空気パクッと食べる仕草をした

でも不味いとか美味しいとかよく分からなかった

それを見たミノルは隣でクスクスと笑った


ミノルはまたゆっくりと目線を絵に戻して言った


『綺麗な街に行けたら……この病気なんてなんでもないよ』


『………?』


『ここは空気が悪いから息苦しいんだ、もっと………もっと別の世界に行く事が出来たら僕は苦しくないのに』


息苦しいか…今の俺にはそれもよく分からない

もう少し大人になれば分かるかな?

それでいつか……空気が不味いとか、息苦しいとかそんな風に思う日が来たりするのかな?


でも欲を言うなら今分かりたかった

ミノルの気持ちを理解したいから



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