近未来少年少女

……………………
……………
………

俺は病院から家までの道のりを歩いていた

ミノルと話してた時は気分が楽だったのに……家へと足取りが近付くにつれて、憂鬱になっていった


俺は家の前に着いて大きく深呼吸した

……………よし

ガチャッ
玄関のドアを開けるとリビングに人の気配がした

時間帯からして朝食の時間、このまま何も言わずに二階に上がろうかと考えた

でもお母さんはともかく、お父さんは怪しむだろうな……

俺は仕方なくリビングのドアをゆっくり開けた


そこにはどこにでもあるような朝の光景が広がっていた


椅子に座るお父さん

食器を片すお母さん

テーブルには朝ごはんが用意されていて、いつもと変わらない日常なのに……


俺はそれをまともに見る事が出来なかった


『ユウキおかえり』

お父さんが俺に気付いて声をかけた、さらに続けて


『昨日は友達の家に泊まったんだって?泊まるのは構わないけど、夜に突然行くのはもうダメだぞ?危ないし向こうの親御さんも迷惑だからな』


『う、うん………』

俺は平常心を保ちつつ、動揺を隠しながら返事をした

『まぁ、でもユウキがテスト勉強なんてする日が来るとはな!』

『………?』

『友達の家で徹夜して勉強した成果をお父さんに見せてくれよな』

『………………』


『な?』


『……………うん』


すぐに後退りしたかった

今すぐにまたあの場所に戻りたくなった

お母さんは怪しまれないように、お父さんに嘘を付いていた

俺がテスト勉強しに友達の家に泊まるって…………


こうなった原因はお母さんの浮気問題で、俺はお父さんの悲しい顔を見たくないから隠しただけなのに

あのまま家に居たら爆発してしまいそうだったから、飛び出した訳で……

俺が嘘を付くのはお母さんの為じゃない


全部お父さんの為なのに……なんでお母さんの嘘に口裏を合わせなきゃいけないの?




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