近未来少年少女



って……別にお父さんと会っちゃいけない理由はないんだよな

家族なんだし…


でも、ここで中途半端に会ったりしてたらお父さんが家を出ていった意味がない

それに…………
お父さんに会ったら…………

俺はまた揺らいでしまう


今のお母さんは好きだけど………今まで過ごしてきたお父さんとの思い出はあまりにも大きい


もし本当にお父さんに会おうと言われても……

俺は会う事を拒むかもしれない


お父さんが好きで、大切すぎるだから……

お父さんと一緒に居たくなる

でもやっぱりお母さんを一人にしておけない


“お母さんをよろしく頼む”


お父さんと交わした最後の約束を俺は守りたい

……………………
…………


次の日、俺はウノ川の土手に居た

学校帰りに突然この場所に来たくなった

いつも人がたくさん居る土手は、こうゆう日に限って誰も居ない

まぁ、平日って事もあるんだけど


何度もお父さんと来た土手沿いを今日は一人で歩く

なんとなく中途半端に今の生活をしてたらダメな気がする


お父さんを忘れる訳じゃないけど、お母さんを守っていくと決めたなら

毎日お父さんの事を考える生活から抜け出さないといけない


そうじゃないと…いつか自分の中の“何か”がプチンと音を立てて崩れそうで怖い


それを防ぐ為には…………自分の気持ちが揺るがないようにする為には……

………………………
…………

俺はある決意と共に急いで家に帰った



< 494 / 599 >

この作品をシェア

pagetop