近未来少年少女




この時ちゃんとお母さんに理由を話していたら…今とは違う未来があったんだと思う



俺は焦っていた

早く……早く…決意した事を実行しないと

明日にはできなくなるような気がしていたから


そのぐらい俺にとってこの“決意”は重いものだった

お父さんとの大切なサッカーボールを抱え、俺はあの場所へと走る


お母さんとこれから一緒に暮らしていく為に……



でも俺は大きなミスを犯していた

慌ててボールを抱えて飛び出して行く俺の姿を見て

お母さんがどんな風に思っていたか


今までの事を考えれば一番に思い付く事なのに………
やっぱり俺は焦っていたんだと思う


それに……俺がお父さんの元へ行ったのではないか、

そんな勘違いをお母さんがしていたとしても、別に後で違うと言えばいい


サッカーボールを抱えて外に出た意味を……後でゆっくり説明すればいい


そう思っていた



俺はやっとこれからの未来に走り出したはずだった

はずだった……………


はずだったのに…………



未来は真っ白に塗りつぶされた



あの事故のせいで



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