近未来少年少女



『お兄ちゃんお見舞いに来たの?』

俺の足元にはまだ男の子が居た

俺は腰を低くして目線を合わせた


『う、うん……。君はここの病室で暮らしてるの?』


『そうだよ…!僕だけじゃなくてここの病室にはたくさんの子供が暮らしてるよ』


『子供……だけ?』


『子供の患者は同じ部屋の方が仲良くなれるからって!院長先生が言ってた』


い………院長………先生?
そうだ……ミノルがここに居なくてもあの人は……………………………
…………


『あっ!院長先生だ』

男の子の目線は俺の背後に向けられていた

すぐに駆け足で俺の横をすり抜けて行き…………


『お兄ちゃん、この人が院長先生だよ。優しくて僕大好きなんだ』


ドクン…………ドクン……
さっきとは違う心臓の音


……俺は深呼吸して振り向いた


目が合った瞬間、やっぱり心臓が跳ね上がった


『お久しぶりです………
おじさん』

声が自然と震えた


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