近未来少年少女



『なんでかな………』


『?』『?』

みのるの言葉に俺とミノルは注目する


『たぶん……お前を理解出来るのは俺だけだ』


みのるの言葉で公園の空気が変わった

桜の木が大きく揺れて、風の音がやけにうるさい

息をするのを忘れる程、俺はみのるの発言に釘付けになっていた


理解できる……?みのるには………?


『分かりたくもないのにお前の痛みが胸に伝わってくるんだよ』

みのるは切なそうに自分の心を指さした


『伝わる………?僕の痛みが……?』

ミノルの戸惑う姿に、みのるは少し笑みを溢した

さっきまでとは別人みたいに優しい顔

一秒、二秒、三秒……と時間が流れ……………みのるはゆっくり口を開いた






『だって俺はお前だから』

みのるの目から一筋の涙が流れた


ミノルとみのる

同じ名前で同じ空気


ミノルの悲しみを理解できるのは

世界中でみのるただ一人


“俺はお前だから”

俺は必死に頭を整理していた

みのるの言葉で息を飲むほど驚いたのは……

ミノルも同じだった



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