近未来少年少女



『なんで…………なんで………』

繰り返しミノルが同じ言葉を言う

俺は左脇に抱えていたサッカーボールを差し出した


“それがあれば十分だろ?”

みのるが言ってくれた


本当にその通りだと思った

“なぁ、そんな所で見てないでお前もこっちに来いよ!”

始まりはこのサッカーボール


“でも僕は………”

あの日の戸惑った顔、今のミノルと同じ

ボールを持つ手をギュッとした


難しい話しはいらない

難しい事も良く分からない

だったら俺は俺らしく、あの日のようにこう言うよ







『一緒にサッカーやらない?』


ミノルの目から一筋の涙が流れた

その涙は間違いなく嬉し涙だった


『なんで…………なんでいつもいつも…………ユウキは…』

『?』


『僕との壁を簡単に飛び越えてくるの…………』


俺達が初めて本当の友達になった日の事を思い出した

俺はミノルの手を持って、ボールを持たせた


『壁なんてないよ。出逢った日から…今だって俺達に壁なんてない』


『………ッ………』




『だって俺達友達なんだから』


その瞬間、パァと二人のボールが光った


光はだんだん大きくなり広場…四番街…三番街…全ての街……いや、この世界を包んだ


『なに…これ………?』

俺とミノルは光の中で顔を見合わせた


光は一瞬で瞬く間に放ち、消えていった

今のはな、なんだったんだ………?



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