近未来少年少女



ボールはガシッとミノルの足で止められた

!!!


俺は自分で蹴ったくせに、まさか受け止められると思ってなくて……体が固まってしまった


『このぐらいのボールなんて目を瞑っても受け止められるよ』

ミノルが笑いながらボールを蹴り返した


『な……なんだと……?』
俺はムキになってまた蹴り返す

ミノルはまたガシッとそれを受け止めた


『一人で練習したんだ。ユウキに追い付きたくて』


ミノルはボールを足で止めて、助走を付けた


『見ててね』


そう言うと勢いよく駆け出し、そのままボールを蹴った

アーチ状に飛んだボールは軽々と俺の頭上を通り越して高く………高く飛んだ


目が眩む程高いボールを見上げながら、俺はグッと込み上げるものを堪えていた


高いな………本当に高い

泣きそうになる程に

蹴り終わったミノルは満足そうな顔をしていた


俺は涙を見られないように『ボールを取ってくる』とミノルに背を向けた

ミノルがどれだけ練習したのか胸に伝わってくる


ミノル………

本当に……本当にもう最後なんだな


この世界がなくなるという事、それは……ミノルがこの世から消える事

分かっていたはずなのに………………

だめだ、まだ泣かない


『ミノル行くぞー!』

俺は振り返ると同時に笑顔になった

ボールを地面に置き、ミノルに向かって蹴った

蹴りながら、心の中で繰り返した言った


今、この瞬間を後悔しないように過ごそう



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