続*俺様王子とキケンな契約!?
「そ、そんなこと言っても、な、何も出ないよ…」
零士くんに言われると、尚更恥ずかしい。
照れ隠しに、少し視線を逸らしていると
零士くんはふと思い出したように口を開いた。
「昔はね、忙しい聖のお父さんの代わりに俺の家族で誕生日はお祝いしてたりしたんだ」
それは、初めて耳にする聖の幼少期の話。
「いつの間にか、年が経つにつれ気を遣うようになったんだよね。って、聖は恥ずかしいから嫌になったんだと思うんだけどさ。昔から自分の誕生日には無頓着なんだよ、アイツは」
無頓着…確かにそんな気がする。
生まれた日だから何だよ?なんて言ってそうだし……
「何より、誕生日を喜べないのは他に理由があるんだ」
他に…理由が?
零士くんはどこか切ない表現であたしを見据える。
「聖の誕生日は、聖のお母さんが亡くなった日なんだ……」
柔らかく微笑むのは、あたしに気を遣ってだろうか…
「5歳で母親を亡くした聖は家族に特別な思い出がないんだ……。だから、芽衣ちゃんが…」
「一緒に、零士くんも、お祝い…してくれないかな?」
えっ?と驚く零士くんにあたしは思い切って言葉を続ける。