お昼の放送です。






親父とアミさんが会った場所。

それは会社じゃなかった。

そもそもアミさんは秘書なんてやっていなかったのだ。



アミさんは伝説の歌姫だったんだ。

今でも人気がある。

アミさんの大ファンだった親父は、アミさんに近づくため、アミさんのコンサート専用スタッフとして潜り込み、アミさんに近づいた。

自分のファンだという親父にアミさんは喜び、やがて恋人同士になり、結婚した。



しかし親父の父親・・・つまり俺の祖父が気に入らなかったんだ。

自分の会社を継ぐはずの親父が、チャラチャラした歌手との結婚に。

祖父は親父にアミさんと離婚するよう迫った。

親父は抵抗するも負け、アミさんは理由もわからぬうちに離婚した。

親父は自分たちの出会いを生まれてくる息子(つまり俺)に隠し、

アミさんは秘書として親父に近づき結婚したものの、経営が傾き離婚したと伝えろと言い、アミさんは俺に言われた通り伝えたんだ。



愛していたアミさんと別れさせられたきっかけは歌。

親父は離婚してから歌が嫌いになったんだ。

だからアミさんが聞かせてくれた自分の歌を、俺に聞いてほしくなかったんだ。



しかし俺は、歌の道へ進みたいと反抗した。

親父が祖父にもっと強く言えば、アミさんは俺を養うために働かなくて良かったんだ、と。

親父は勿論反対した。



俺は親父に反抗するように、目をカラコンで赤くした。

髪はアミさんが綺麗だと言ってくれたので、染めなかったけど。



そして俺はアミさんがデビューのきっかけをつかんだ場所で、路上ライブを行った。

アミさんから譲り受けたと思われる歌声で、すぐに俺はデビューした。



今でも俺は親父に反抗し続けている。

会社も継がないと断言しているんだ。







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