お昼の放送です。
小さな放送室
放送室は、空き教室に機材を運んだだけの、小さな部屋だ。
放送委員用のテーブルが置いてあり、その上に鞄から出したお弁当を置く。
「・・・桜田、機械の動かし方わかる?」
やば・・・声が震える・・・・。
桜田は鞄を置いた後、こくんと頷いた。
わかるんだ・・・。
機械オタだったりする?
軽く操作した桜田は、私にマイクを突き出した。
恐る恐る受け取り、マイクに向かって声を出す。
マイクに音はなくて、桜田が無言のままボタンを指さしていた。
赤いボタンで、オンオフ切り替え式となっているらしい。
赤いボタンを押し、オンにする。
〈マ、マイクのテスト中・・・〉
おぉ!私の声が流れている・・・。
全校生徒に私の声が届くんだと思うと、恥ずかしい半面、不思議に思う。
だって、こんな小さなマイクに向かって話すだけで、届くんだもん。
ある意味凄いわ。
「・・・自己紹介」
「!?」
耳元でささやかれ、思わず小さく飛び跳ねた。
急いで振り向くと、桜田が私をジィと見つめていた。