お昼の放送です。
実はここの校長は、母さんの姉が務めている。
『AZUMI』の正体を知る、数少ない人間。
俺は放送室へ入り、弁当を鞄に詰め、背負う。
「・・・じゃあな」
「あ、うん。バイバイ」
教室へ戻る準備をしていた宮田が不思議そうに俺を見ていたから、一応挨拶。
俺はこのまま早退するんだけどね。
教室に戻りたくねぇって言うのもあるし。
だって、教室の連中、俺を化け物を見るかのような目で見るんだよ。
居づらいったらありゃしねぇ。
大体、俺の正体が『AZUMI』だって知ったら、どんな反応するんだよ。
宮田だけでなく、クラス全員が『AZUMI』の大ファン。
休み時間も授業中も、皆話している。
後は人気女優・田宮(たみや)ユズの話もしているな。
田宮ユズは、大物俳優・田宮源三郎(たみや・げんざぶろう)の孫で、名前しか知られていない人気女優。
笑顔が可愛いと評判で、通称『スマイルちゃん』。
・・・だせぇ通称だと、つくづく思う。
まぁ良いや。
校長の所行って、早退の許可もらってこようっと。