お昼の放送です。
『あら、情報早いのね』
「そう言う問題じゃありません」
『今日学校終わったら事務所来て?』
「・・・はい」
今日放課後予定いれないで良かったわ。
キャンセルなんてしたくないもの。
☆☆☆
学校が終わった私は、駅のトイレに入って軽くお化粧をしてダテ眼鏡をかけて、電車に乗り込む。
2つ駅先の駅にあるのが、私が所属する事務所。
「おはよう、ユズ」
「おはようございます、由芽さん」
「車の中で説明するから、着替えてきて?」
「はい」
今日の用意されている衣装は、ふんわりとした裾の、ピンクのワンピース。
女の子っぽくて、あんまり好きじゃない。
でも通称『スマイルちゃん』の宮田ユズが男の子っぽい格好していたら可笑しいから、我慢しなくちゃな・・・。
着替え終わり、車へ向かう。
「今日のユズの仕事は、MFで今度から始まる新作ドラマの宣伝をしてくること」
「はい」
「あの『AZUMI』も出るから、あんまり緊張しないようにね」
「え!?『AZUMI』さんも出るんですか?」
「そうよ。
あんまりメディアには顔を出さない人だから、今回の視聴率は高くなるわ。
失敗は許されないから、気を付けて」
「はい!」
緊張するけど、頑張らなくちゃ。