お昼の放送です。
「だから、内緒にしろよ?
俺が『AZUMI』の正体だってこと」
「私が田宮ユズの正体だってことも隠してもらえるのなら、約束します」
「わかった。じゃ、交渉成立な」
桜田が頷いたところで、由芽さんと男の人が2人、入ってきた。
「ユズ、紹介するわ」
「はい」
「わたしの兄・日向皇太。
『AZUMI』のマネージャーよ」
「初めまして、田宮ユズです。
よろしくお願いします」
「日向皇太です。
こちらこそよろしくお願いします」
皇太さんは、由芽さんのお兄さんだけあって、似ている部分が多い。
私が好きな由芽さんのクリーム色に似ているの髪も、皇太さんは一緒だもん。
顔の作りとかも似ているし。
挨拶を終えたところで、スタッフさんが私と桜田を呼びに来た。
セットの説明をするから、一度スタジオ入りするらしい。
スタジオへ入ると、大歓声が聞こえた。
私と桜田の名前を呼んでいる。
見ると、鳴海や由布子もいる。
2人のほかにも大勢のクラスメイトがいた。
き・・・緊張する。
「田宮さん?」
緊張のあまり笑顔が凍る私に気が付いたのか、桜田が微笑んでくる。