一番嫌いなアイツは彼女持ち
「駆け落ちなんて、すんなよ…」
あたしは、瞬にドキドキしちゃってる。
嫌いなのに、大嫌いなのに…。
瞬の鼓動が早くて、目が潤んできちゃうじゃんか。
「そんなこと、言わないでよ…。馬鹿…」
気づいたら啓は、黙り込んだまま向こうに行ってしまった。
「ほんと、最低」
それだけ言うと、瞬を振り解いて逃げた。
だけど確信はしてしまう。
嫌いだって、本当は言いたくないって思うなんて―。