一番嫌いなアイツは彼女持ち
「それで、話って??」
改めて、翼衣に聞いた。
夏の風が頬に当たる。あたしの髪が大きく左へと流れる。
翼衣はずっと、黙り込んだままだった。
あの寝言のこと、聞きたいけど聞ける雰囲気じゃなさそうだし…。
「俺、お前の強がったとこ見てたんだよ」
「…え??」
あたしの…、強がったとこ??
「お前の心の中、自分では気づいてないかも知れないけど…」
そういって、不意に周りの音が聞こえなくなった。