あの子の人形
「「おおっー!」」
またクラスで驚きの声があがる。
「本当に付き合ってるんだね……」
「俺、てっきり拓巳は神田さんのことが好きなんだと思ってたわー」
クラスの男子の一人がそんなことを言い出す。
拓巳くんは困ったように笑う。
「ちょ、馬鹿!」
バシッ。
山西さんがその男子の頭を思いっきり叩く。
「いって……!何す……」
ガンッ。
机を蹴った鈍い音が響いた。
みんな、黙り込んで机を蹴った人物を見つめる。
机を蹴ったのは……神田さん。
神田さんは怖い顔をして私を睨みつけていた。