あの子の人形
「本当、気分悪い」
神田さんはそう言うと教室を出て行った。
「ちょっと!志歩ってば」
「待ってよ、志歩」
倉本さんと山西さんも神田さんを追って教室を出て行った。
怖かった……。
それほど神田さんも拓巳くんが好きだったってことだよね?
でも、私も拓巳くんが好きで告白したんだし……。
ポンと軽く頭を触られた。
拓巳くんが「気にしなくていいよ」と言ってくれた。
……そうだよね?
気にしない方がいいよね。
私はもう気にしないようにしていた。